2013-06-05

そよかぜ日和 / 百合草尚子


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そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子

そよかぜ日和 / 百合草尚子

 

そよかぜ日和 / 百合草尚子
[A day soft breeze blow / Naoko Yurikusa]
225mm x 155mm 56 pages, soft cover , offset print , letterpress
photograph by Mina Imai
1st Edition of 300
Publication date: September 2012
1800yen + tax SOLD OUT!

buy: ON READING  http://artlabo.ocnk.net/product/3680

名古屋出身、現在は神奈川を拠点に活動するアーティスト、百合草尚子の作品集。ドローイング作品とインスタレーション作品の写真からなる家型の作品集の2部構成。表紙は活版印刷。

 

まじり気のない澄んだ色合いと、いきいきとした鉛筆の線。開かれた窓の向こうをのぞむように、風にそよぐ緑が広がる。

百合草尚子は、日ごろ目にしたものや、印象に残った出来事、またそこから思い浮かべられたイメージの断片を、思いつくままドローイングとして日記的に描き 留めている。「心の中に貯金しておく」 という、散歩の途中で見つけたきれいな景色、気になった物事が、ときに顔のついたブロッコリーやアスパラ、クマやウサギなどの擬人化された植物や動物たち とともに、不思議なひとつの風景となって、伸びやかに表されていく。

それは自由で楽しくて、かわいらしく、そしてちょっとおかしな世界。読み解こうとすれば不可解で、しばしば見る人を戸惑わせる。しかし、画面にただよう澄 みやかな空気と、ほがらかな風が、私たちのありきたりの想像力をするりとかわすようにして、まるで子どもの頃に描いた絵を見るような素朴な楽しさをもたら してくれる。

好んで用いられる家型のシェイプド・キャンバスは、家から外をながめているようでいて、反対に家の中をのぞいているようにも、あるいは向こうの景色が透け ているようにも捉えられ、いくつもの場面を思い起こさせる。彼女の素直なまなざしは、画面の内と外とを自由に行き来しながら、物語をかろやかにつむいでい く。

風景とは自分という窓から見た出来事。その窓は、内にも外にも開いている。ページをめくるたび、そよ風に心がふわりと広がる。

—– 山口美智留 (GALLERY CAPTION)